本当に初期化が必要か?
HPのパソコンを初期化すると、パソコンは工場出荷時の状態に戻ってしまいます。Windowsを搭載したHPのパソコンの場合は、以下を含むWindows以外の全てのデータが削除されてしまうので注意が必要です。
- 保存した画像や動画、音楽などのデータ
- インストールしたアプリ
- 周辺機器のドライバー
- ネットワークをはじめとした各種設定
もし、パソコンがウイルスに感染していればウイルスごと消去できるほか、保存していたデータやアプリに何らかの不具合があっても問答無用で削除が可能。
つまり、パソコンの初期化は不具合が発生したときの最終手段と言っても過言ではありません。
データを削除することが目的であれば別ですが、ほかに目的がある場合は本当に初期化が必要かどうか確認しておきましょう。
パソコンの初期化が必要になる主なシーンは、深刻な不具合が発生したとき・パソコンを処分や譲渡するときの2パターンです。
深刻な不具合が発生したとき
パソコンに深刻な不具合が発生している場合は、初期化を検討してみてもよいと言えます。
深刻な不具合とは、具体的にはウイルスに感染してしまったり、周辺機器が一切認識されなくなってしまったり、ネットワークに繋がらなくなってしまったりなどの事象です。
もちろん、上記のような状態であってもすぐに初期化を実行することは得策ではありません。
ウイルスの場合はアンチウイルスソフトを導入してみたり、その他の場合はドライバーの更新やWindowsアップデートを適用したり、再起動したりなど考えられる対処法はできる限り試してみましょう。
さまざまな対処法を実行しそれでもなお不具合が改善されない場合、さらに不具合の原因にも全く心当たりがない場合は最終手段である初期化を実行し、真っ新な状態に戻すことで不具合の解消を目指します。
HPのパソコンを処分・譲渡するとき
古くなって使わなくなったHPのパソコンを処分したり、ほかの人に譲ったりするときには、必ず初期化をしましょう。
もし初期化をしないままパソコンを手放し、悪意のある人の手に渡ってしまうと、プライベートなデータを悪用されてしまう可能性があります。
個人情報やデータを保護するだけであれば初期化ではなく削除するだけでもいいのでは?と考える方もいるかもしれませんが、削除しただけのデータは専用のツールを使用すると100%ではないものの意外と簡単に復元が可能です。
一方で、初期化を実行するとデータを復元される可能性を大幅に軽減できます。個人はもちろん、会社で使用しているパソコンには重要で機密性の高いデータが保存されていることも珍しくないので、パソコンの処分・譲渡の際には忘れずに初期化を実行してみてください。
HPのパソコンを初期化する前にやっておくべきこと
パソコンの初期化はパソコン本体はもちろん、接続している周辺機器やストレージなどさまざまな部分に影響を及ぼします。
逆に、周辺機器からの影響によりエラーが発生する場合もあるので、事前にトラブルとなり得る要因を排除しておきましょう。
周辺機器を全て取り外す
HPのパソコンを初期化する場合は、接続されている周辺機器を事前に可能な限り取り外しておきましょう。
多くの場合、パソコンにはUSBメモリーやプリンター、スピーカーなどさまざまなデバイスが接続されています。
これらの周辺機器はデバイスドライバーをインストールして正常に動作させていることが多く、万が一接続したまま初期化を実行してしまった場合、ドライバーに問題が発生し初期化がスムーズに進まなかったりデバイス内のデータに悪影響を与えてしまったりする可能性があります。
特に、外付けのハードディスク(HDD)やSSD、スマートフォンなどデータが大量に保存されたストレージを接続している場合は注意が必要です。
SDカードやmicroSDカードを使用してストレージを拡張している場合も、忘れずに取り外しておきましょう。
ただし、マウスやキーボード、モニターといった周辺機器は操作に必要なため接続しておいても問題ありません。
時間と電源を確保する
一般的に、パソコンの初期化は非常に時間のかかる作業です。思い立ったときに開始して数分で終わることは稀なので、作業にはある程度まとまった時間を確保しておきましょう。
実行する初期化の種類にもよるものの、パソコン1台に対して約1〜2時間前後の時間がかかるものとしたうえで対応するのがおすすめです。
個人ではなく企業で初期化を行う場合は、業務に支障が出ないように時間に余裕を持って実行してください。
また、もし初期化を実行したいHPのパソコンが1台だけではなく2台3台とある場合は、できるだけ多くのパソコンの初期化作業を並行して行い、トータルでかかる時間を削減できるように心掛けましょう。
初期化したいパソコンがデスクトップパソコンではなくノートパソコンの場合は、電源の確保も重要です。
万が一初期化の実行中にバッテリー切れによって電源が切れてしまうと、初期化が失敗するだけではなくデータが破損してしまう可能性もあります。
バッテリーが十分に残っているパソコンであっても、念のためにACアダプターを接続しておきましょう。
もちろん、初期化作業中に誤って電源を切ってしまわないように注意も必要です。
十分な空き容量があるか確認する
初期化を実行したいパソコンのハードディスクやSSDなどのストレージに、空き容量が十分にあるかどうかもよく確認しておきましょう。
意外と見落とされがちですが、パソコンの初期化にもストレージの空き容量が必要です。
必要な空き容量は、HPのパソコンに搭載されているWindowsの種類によって異なります。32bit版のWindowsの場合は16GB、64bit版であれば20GBのスペースがCドライブに必要。現在のCドライブの容量は、エクスプローラーを開き左側のメニューから「PC」をクリックするとチェック可能です。
空き容量が足りていない状態で初期化を実行すると、「ディスク領域が足りません」や「Windowsがインストールされているドライブの空き領域を増やす必要があります。空き領域を増やしてからやり直してください」といったメッセージが表示され、エラーが発生してしまいます。
パソコンが起動しなくなったり正常に動作しなくなったりする可能性もあるので、注意が必要です。
スムーズに初期化を実行するためには、事前に十分な空き領域を確保しておきましょう。もしCドライブの容量がいっぱいであれば、外付けのハードディスクやクラウドストレージなどにデータを避難させてみてください。
パスワードやライセンスを確認する
初期化を実行すると全てのデータが削除されてしまうので、現在使用しているアプリやサービスを再度同じ環境で使用したい場合は一から設定しなおす必要があります。
例えば、初期化後に現在と同じMicrosoftアカウントでWindowsにログインしたい場合は、Microsoftアカウントのメールアドレスやパスワードが必要です。
Wi-Fiにも初回は手動で接続しなければならないため、事前にネットワークセキュリティキーを控えておくことをおすすめします。
また、パスワードだけではなく各アプリのライセンスも再び認証が必要になるので注意が必要。代表的な例だと、WordやExcel、PowerPointなどのMicrosoft Officeはライセンスを認証しないと使用できません。
また、動画編集ソフトや画像加工ソフトなどの多くも初回起動時にラインセンスキーの入力を求められる場合があります。
普段意識していないこういった情報は、いざ必要になったときにスムーズに思い出せないことも珍しくありません。初期化の前に一通り確認しメモに控えてくと、後の設定が非常に楽になります。
必要なデータのバックアップを取る
個人用ファイルを保持せずに初期化をすると、保存していた全てのデータが削除されます。
大切なデータや今後も使用する資料などがある場合は、忘れずにバックアップを取って後から復元できるように備えておきましょう。
特に、会社で使用していたパソコンには仕事に必要なさまざまなデータやマニュアル、過去のメールのやり取りなど重要なデータが大量に保存されている場合がほとんど。
バックアップを忘れると業務に支障をきたす可能性もあるので、注意が必要です。
なお、パソコンを初期化する・しないに関わらずバックアップは定期的に取ることをおすすめします。
不意なデータ消失に備えられるのはもちろん、日常的にバックアップを取っておくといざ初期化が必要になった際の労力を最小限に軽減可能です。
バックアップを取る方法
初期化前にデータをバックアップする方法には、いくつか種類があります。外部ストレージやクラウドストレージを使用する方法のほか、一部のHPのパソコンに搭載された機能を利用してパソコンが起動できない状態からでもバックアップを取る手段を紹介します。
USBメモリや外付けハードディスクに保存する
最もシンプルでわかりやすいデータのバックアップ方法は、外付けのハードディスクやSSD、USBメモリなどの外部ストレージにデータを移動させること。
必要なアイテムは、USBメモリーや外付けのハードディスクなど任意の外部ストレージと接続用のUSBケーブルです。ちなみに、バックアップしたいデータ容量より少し大きめの外部ストレージを用意しておくと、余裕を持って作業が可能です。
用意した外部ストレージをUSBケーブルを使用してパソコンに接続します。パソコンに認識されたことを確認したら、エクスプローラーを開き左のメニューから「USBドライブ」を見つけ右クリック。
表示されたメニューから「新しいウィンドウで開く」を選択し、バックアップ用ストレージのウィンドウを開いておきます。
あとは、元のウィンドウでバックアップしたいデータを選択し、今開いたバックアップ用ストレージのウィンドウにドラッグ&ドロップするだけ。
データの量やサイズによっては多少時間がかかるものの、必要なデータが全てコピーできればバックアップ完了です。
なお、前述の通り初期化実行時にはバックアップ用のストレージを忘れずに取り外しておきましょう。
クラウドストレージを活用する
クラウドストレージを活用するのも、おすすめのバックアップ方法のひとつ。USBメモリや外付けハードディスクを持っていない場合や、パソコンにUSB Type-Aポートが搭載されていない場合でもインターネットさえ接続されていれば利用できる点が魅力です。
バックアップ方法は非常に簡単で、任意のクラウドストレージにバックアップしたいファイルを移動させるだけ。
パソコンの初期化後に再びダウンロードすれば元に戻せるほか、使用頻度の低いファイルであればクラウド内に保存したままにしておくのもおすすめです。
利用するクラウドストレージは何でもOK。GoogleドライブやOne Drive、Dropboxなどが定番のサービスです。
いずれのサービスも本格的に使用する場合は有料になってしまうものの、Googleドライブは15GB、One Driveは5GBまで無料で使用できます。
ほかにも、Amazon PhotoはAmazonプライム会員であれば5GBのストレージを利用できるうえ、写真のみであれば容量無制限で保存可能。
自身の保存したいデータに合わせてさまざまなサービスを比較検討してみてください。
Recovery Managerを利用する
一部のHPのパソコンには、システムを工場出荷時の状態に復元するための独自システム「Recovery Manager」が搭載されています。
不具合によりパソコンが起動しないため初期化したい、しかし起動しないので必要なファイルのバックアップが取れないという場合でも、「Recovery Manager」を使用するとデータのバックアップが可能です。
必要なアイテムは、USBメモリや外付けハードディスクなどの外部ストレージ。具体的なバックアップ手順は以下の通りです。
- パソコンの電源を入れて画面下に「Please wait」が表示されるまで「F11キー」を連打します。
- オプションの選択から「トラブルシューティング]」を選択します。
- 「Recovery Manager」を選択します。
- 「ファイルのバックアップ」を選択します。
- 用意したUSBメモリや外付けハードディスクなどをパソコンに接続します。
以降の手順は、ファイルを自動的に保存できる自動選択と任意のファイルを指定してバックアップできるユーザー選択に分かれます。まずは、自動選択の手順を解説します。
- 「自動選択」にチェックを入れて「次へ」をクリックします。
- バックアップしたいファイルの種類にチェックを入れて「次へ」をクリックします。
- 「バックアップの保存場所」が表示されるので、接続した外部ストレージを選択して「次へ」をクリックします。
- 「バックアップが正常に作成されました」が表示されるまで「次へ」をクリックして完了です。
続いてユーザー選択の流れを解説します。
- 「ユーザー選択」にチェックを入れて「次へ」をクリックします。
- 「圧縮」「圧縮なし」のいずれかを選択して「次へ」をクリックします。容量が大きい場合は「圧縮」がおすすめです。
- 「ファイルを参照」をクリックし、任意のフォルダやファイルを指定して「OK」をクリックします。
- バックアップの保存場所を選択して「次へ」をクリックします。
- 「バックアップが正常に作成されました」が表示されるまで「次へ」をクリックして完了です。
以上が「Recovery Manager」を使用したバックアップ方法です。なお、自動選択およびユーザー選択の「圧縮」を使用した場合、バックアップデータの復元には「Recovery Manager」が必要になります。
HPのパソコンを初期化する方法
準備やバックアップが完了したら、いよいよ初期化を実行します。初期化にはHP独自のシステムを利用する方法とWindows 10に標準搭載されている方法があるので、それぞれ手順を解説します。
リカバリ領域からWindowsを再インストール
前述の「Recovery Manager」を利用すると、内蔵のハードディスクに用意されたリカバリ領域からシステムを復元しパソコンを初期化可能です。
この手順でHPのパソコンを初期化すると、保存されたデータや設定は全て削除されるので忘れずにバックアップをしておきましょう。
初期化手順は次の通りです。
- パソコンの電源を入れて画面下に「Please wait」が表示されるまで「F11キー」を連打します。
- オプションの選択から「トラブルシューティング]」を選択します。
- 「Recovery Manager」を選択します。
- 「システムの復元」を選択します。
- ファイルをバックアップするまたはしないを選択し、「次へ」をクリックします。
- システムの復元が開始されるまで「次へ」をクリックします。
- ソフトウェアのインストールが開始され、パソコンが初期化されます。「完了」をクリックして終了です。
上記の手順の途中で、何度かパソコンが再起動されます。なお、上記の方法でHPのパソコンを初期化すると、Windowsのセキュリティ更新プログラムも含めて工場出荷時の状態に戻るため、パソコンを再利用する場合は各種アップデートを迅速に行いましょう。
Windows 10の設定から初期化する手順
パソコンが通常通り起動する場合は、Windows 10の設定画面から簡単に初期化が可能です。
設定から初期化方法には、ある程度の個人データを残した状態で初期化する「個人用ファイルを保持して初期化」とデータを完全に削除する「データを削除して初期化」の2種類が用意されています。
初期化したパソコンを今後も使い続ける場合は前者を、処分・売却・譲渡などをする場合は後者を選ぶといいでしょう。
個人用ファイルを保持して初期化
まずは個人用ファイルを保持して初期化する方法を解説します。
- 設定から「更新とセキュリティ」を選択します。
- 「回復」を選択します。
- 「このPCを初期状態に戻す」の画面で「開始する」をクリックします。
- 「個人用ファイルを保持する」を選択します。
- 「次へ」をクリックします。
- 「リセット」をクリックすると初期化がスタートします。
個人用ファイルを保持して初期化した場合、MicrosoftアカウントやWindows Update、壁紙やテーマなどの個人設定は保持されます。
ユーザーが作成したフォルダも残るほか、Cドライブ内の一部のデータはバックアップされ、削除された一部のアプリはリスト化されてデスクトップに配置されます。
データを削除して初期化
最後に、データを削除して初期化する方法を解説します。
- 設定から「更新とセキュリティ」を選択します。
- 「回復」を選択します。
- 「このPCを初期状態に戻す」の画面で「開始する」をクリックします。
- 「すべて削除する」を選択します。
- 「ファイルの削除のみ行う」または「ファイルを削除してドライブのクリーニングを実行する」を選択
- 「リセット」をクリックすると初期化がスタートします。
「ファイルの削除のみ行う」を選択した場合でも全てのデータを削除できるものの、データ復元のリスクを軽減したい場合は「ファイルを削除してドライブのクリーニングを実行する」を選択するのがおすすめです。
データ復元や不具合解消は専門店への相談も
以上、HPのパソコンを初期化する手順や注意点を紹介しました。初期化をしても不具合が改善しなかったり、データのバックアップや初期化手順などに不安を感じる場合は、専門業者への相談も検討してみてください。
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HPのパソコンのリカバリ事例
ファストPCリペアはすべてのメーカーのパソコントラブルに対応しております。
今回は多数ある事例の中からHPパソコンのリカバリ事例を抜粋しご紹介します。
システム不具合によるリカバリ事例
インターネットがつながらない、シャットダウンができないなど複数システム不具合が散見されたため、OSのリカバリを行った事例です。
リカバリ後はバックアップデータを戻し、初期設定も実施しました。
事例の詳細についてはこちらのページをご確認ください。
修理事例:東京都練馬区 ノートパソコンのインターネットトラブル/HP(ヒューレット・パッカード) Windows 7
リカバリ(初期化)作業はパソコンに詳しくない人が行うにはなかなかにハードルの高い作業だと思います。
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