Windows 11で報告されている主な不具合
Windows 11は、システム要件さえ満たしていれば通常の更新プログラムと同じように設定画面から簡単にアップグレードを実行できます。 しかし、まだリリースされて間もないうえに多種多様な新機能が実装されていることもあり、さまざまな不具合が報告されています。
Microsoftは、報告された不具合に対して随時対処してプログラムの更新を行っています。そのため、Windows 11リリース当初では発生していたものの現在では解消された不具合も数多くあります。
一方、まだMicrosoft側で対処できていない不具合もあるほか、他社製のアプリやアクセサリーとの互換性など、Microsoftによる対応だけでは解消できない問題もあるのが現状です。
そこで、まずはWindows 11で確認されている不具合のなかでも特によく見かけるものや多くの方に関係がありそうなものを6種類紹介します。 現在不具合が発生して困っている方はもちろん、これからWindows 11にアップグレードしようか検討している方もぜひチェックしてみてください。
インターネットに接続できない
OSのアップグレードやマイナーアップデートのあとにはインターネットに接続できなくなることが多くあります。 Windows 11でも、アップグレード後にインターネットに接続できない・接続できても不安定といった不具合が報告されているようです。
原因として考えられるのは、Windows 11へのアップグレードに伴いこれまで使っていたインターネットに関する設定が削除されてしまったこと。もしくは、モデムやルーター、またはネットワークアダプターのドライバーが不具合を起こしてしまっていることなどです。
また、アップグレードのタイミングが重なってしまっただけで、実際はネットワーク側のトラブルだったという可能性もあります。 Windows 11が原因なのかネットワーク側が原因なのかを見極めるために、スマートフォンやタブレットなどパソコン以外のデバイスがインターネットに接続できるかどうかを確認してみましょう。
もし、パソコン以外のデバイスが通常通りインターネットに接続できるのであれば、Windows 11のアップグレードが原因である可能性が高く、ほかのデバイスもインターネットに接続できない場合は通信障害やルーターの不良である可能性があります。
OfficeやEdgeが正常に利用できない
Windows 11にアップグレード後、普段使用していたアプリやサービスが正常に動作しなかったり起動しなかったりという不具合もよく見かけます。
特に、ExcelやWord、PowerPointなどをはじめとしたMicrosoft Officeやデフォルトで標準ブラウザに指定されているMicrosoft Edgeなどは、Windowsユーザーの利用者が多い分不具合の報告も多いようです。
Windows 11のアップグレードにより、OfficeやEdgeに限らずアプリが正しく動作しなくなってしまう可能性はあります。
原因がアプリ側・Windows 11側のどちらにあるかはユーザーからは分かりにくく、対処法も限られているため、よく使うアプリがある場合はWindows 11に対応しているかどうかアプリの運営や周囲のユーザーによく確認してからアップグレードを実行しましょう。
特に、専門的なアプリや仕事に使用しているアプリがある場合は要注意です。
マウスやキーボードが使用できない
マウスやキーボードといった定番の周辺機器が、Windows 11へのアップグレード後に使用できなくなる不具合も報告されています。 ノートパソコンの場合は、キーボードは通常通り使用できてもマウスが認識されないこともあるようです。
また、キーボードやマウスが認識されているものの、以前設定したはずのキーの入れ替えやマウスのショートカットボタンなど、固有の機能が正しく動作しない場合もあります。
プリンターが認識されない・印刷できない
マウスやキーボードと同じくパソコンとセットで使用する機械の多い周辺機器、プリンターについてもWindows 11にアップグレード後不具合が発生する可能性があります。
Windows 11搭載のパソコンとプリンターを接続し書類の印刷を試みると、用紙設定が正しく反映されなかったり印刷できなかったりする場合があります。 また、そもそもパソコンとプリンターを接続できない・プリンターがパソコンに認識されないといった不具合もあるようです。
プリンターを使用する頻度が少ない方や趣味に利用する程度の方であれば大きな問題にはなりにくいものの、仕事でプリンターを使用する場合は、必ずお使いのプリンターがWindows 11対応しているかどうかを事前にチェックしておきましょう。
動作が重くなった
Windows 11にアップグレードすると、パソコンの動作が重くなったと感じる方もいるようです。 Windows 11は新しいOSであるため新機能が多く追加されており、パソコンに要求されるスペックも高くなっています。 そのため、Windows 10は快適に動作していてもWindows 11はイマイチぎこちない、という事態は十分想定できます。
ちなみに、Windows 11のアップグレードには、必要なスペックがシステム要件として定められています。
- プロセッサ:1GHz以上で2コア以上の64ビット互換プロセッサまたはSoC
- メモリ:4GB
- ストレージ:64GB以上の記憶装置
- システムファームウェア:UEFI、セキュアブート対応
- TPM:トラステッドプラットフォームモジュール(TPM)バージョン 2.0
- グラフィックスカード:DirectX12以上(WDDM 2.0 ドライバー)に対応
- ディスプレイ:対角サイズ9インチ以上で8ビット カラーの高解像度(720p)ディスプレイ
- その他:インターネット接続とMicrosoftアカウント
上記のシステム要件は必要最小限のスペックなので、仮に満たしていても動作が快適とは限りません。 デスクトップパソコンを使用している場合は、メモリの増設やCPUの買い替え、ストレージをハードディスク(HDD)からSSDに変更するなどの工夫により動作を改善できる可能性があります。
アップグレードができない・勝手にアップグレードされた
Windows 11の機能ではなく、Windows 11へのアップグレードそのものに不具合が発生してしまう場合もあります。 具体的には、意図しないアップグレードが実行された・アップグレードができない、などが挙げられます。
まず前提として、Windows 11はその他のWindowsの更新プログラムのように、知らない間に勝手にアップグレードが実行されることはありません。 アップグレードの準備が整っているとその旨を知らせるダイアログが表示されるものの、実行には必ずユーザーの操作が必要です。 逆に言うと、ダイアログが表示された際に中身をしっかりと読まずにボタンをクリックしていると、アップグレードが進行してしまいます。
また、アップグレードができない場合は前述のシステム要件を満たしているかを確認してみましょう。 Windows 11はWindows Updateを利用する方法のほか、Microsoftが配布しているインストールアシスタントやインストールメディアを利用してもアップグレードが可能。
システム要件を満たしているのにアップグレードができない場合は、複数の方法を順番に試してみるのも手段として有効です。
Windows 11の主な不具合の対処法
続いては、Windows 11で発生する主な不具合の簡単な対処法について解説します。
SSIDの再設定
Windows 11にアップグレード後インターネットに接続できないときは、インターネットに関する設定が削除されてしまっている可能性があります。 その場合は、あらためてSSIDの接続設定を行うとインターネットに接続できるようになります。
Windows 11もWindows 10と同様に、タスクバーの右端にWi-Fiのアイコンがあるのでクリックします。Wi-Fiアイコンの隣の矢印をクリックすると接続できるSSIDの一覧が表示されるので、以前使用していたSSIDをクリックしてパスワードを入力しましょう。
パスワードは、多くの場合ルーター自体に記載されています。
また、アップグレードに伴いネットワークアダプターのドライバーが不具合を起こしてしまった可能性もあります。 ネットワークドライバーをアンインストールし、再びインストールすると改善に期待できます。手順は次の通りです。
- コントロールパネルを開きます。
- 「ハードウェアとサウンド」をクリックします。
- 「デバイスマネージャー」をクリックします。
- 「ネットワークアダプター」をダブルクリックして展開し、該当するネットワークアダプターを右クリックします。
- 「デバイスのアンインストール」をクリックします。
- 「このデバイスのドライバーソフトウェアを削除します。」のチェックを外し、「アンインストール」をクリックします。
上記の手順でネットワークドライバーがアンインストールされ、再起動すると自動的に必要なドライバーがインストールされます。 なお、6番目の手順でチェックを入れてしまうと再起動後に自動でドライバーがインストールされない可能性があるので、注意が必要です。
アプリの再インストールやバージョン確認
Windows 10で使用していたアプリがWindows 11へのアップグレード後に正しく動作しない場合は、アプリの再インストールを試してみましょう。
設定を開き「アプリ」⇒「アプリと機能」と進むと、現在パソコンにインストールされているアプリを一覧で表示可能。各アプリの右側に表示されているメニューをクリックすると「アンインストール」の項目も表示されるので、効率的に操作できます。
また、アプリによっては最新のバージョンに更新することでWindows 11に対応できる場合もあります。 例えば、Microsoft Office 2013はWindows 11ではサポートされていません。
以前は使えていたからと考えてそのまま起動しても正しく動作する保証はないので、Microsoft Office 2021やMicrosoft 365への移行、あるいはGoogleドキュメント・スプレッドシートのようなMicrosoft Officeと互換性のある代替サービスへの切り替えが必要です。
各種ドライバーの再インストール
マウスやキーボードなどが不具合により正しく動作しない場合は、ドライバーの再インストールを試してみましょう。
特に、キーボードのキーの入れ替えやショートカット、マウスに登録したマクロなど専用のドライバーが必須な機能は、Windows 11へのアップグレードに伴って設定がリセットされてしまったり、ドライバー自体が削除されてしまったりする可能性もあるので、注意してください。
また、Bluetoothで接続するタイプのワイヤレスキーボードやワイヤレスマウスがパソコンに認識されない場合は、Bluetoothのオン・オフを試してみてください。 それでも認識されないときは、ドライバーの再インストールで改善される可能性があります。
ドライバーをアンインストールする手順 コントロールパネルを開きます。 「ハードウェアとサウンド」をクリックします。 「デバイスマネージャー」をクリックします。 「Bluetooth」をダブルクリックして展開し、該当する項目を右クリックします。
「デバイスのアンインストール」をクリックします。 「このデバイスのドライバーソフトウェアを削除します。」のチェックを外し、「アンインストール」をクリックします。
以上の手順でアンインストールが完了。再起動すると、必要なドライバーが自動的にインストールされます。 なお、6番目の手順でチェックを入れてしまうと再起動後に自動でドライバーがインストールされない可能性があるので、注意が必要です。
Windows 10にダウングレードする
上記の対処法を試しても不具合が改善しない場合や不具合の原因が全く分からない場合、また、その不具合を放置できない状況では、Windows 11を諦めてWindows 10にダウングレードすることも検討してみてください。
Windows 11からWindows 10にダウングレードする方法は次の通りです。
- 設定を開き、「システム」を選択して「回復」をクリックします。
- 「復元」をクリックします。
- 「以前のバージョンに戻す理由」を聞かれるので、任意の回答を選択し「次へ」をクリックします。
- 「アップデートをチェックしますか?」に対して「行わない」をクリックします。
- 「次へ」をクリックしていき、最後に「Windows 10に復元する」をクリックします。
なお、Windows 10へのダウングレードは、アップグレード後10日以内でなければ実行できないので注意が必要。 10日以上過ぎてしまった場合でも、クリーンインストールで無理やりWindows 10に戻すことは可能ですが、必要なデータを全てバックアップし復元しなければならないので非常に手間がかかります。
アップグレード後はできるだけ早めに動作を確認し、普段行っている作業や業務をスムーズにこなせるかチェックしましょう。
更新プログラムが原因の場合はアンインストールも検討
Windows 11にアップグレードしたあとしばらくは問題なくパソコンを使用できていたのに、ある日突然不具合が発生する場合があります。
Microsoftは、セキュリティ改善や不具合解消を目的として定期的に更新プログラムをリリースしており、環境によってはその更新プログラムが原因で不具合を誘発してしまいます。 不具合の原因が更新プログラムである場合は、アンインストールすると改善が可能です。
不具合の原因となっている更新プログラムを特定する
まずは不具合の原因となっている可能性のある更新プログラムを特定しましょう。
Windows 11の更新プログラムには、「KB~」のようにKBで始まる番号が付けられています。これまで適用してきた更新プログラムは設定のWindows Updateから確認できるので、番号をウェブで検索してみて自分のパソコンで発生している不具合と似た症状がほかのユーザーにも発生していないか調べてみましょう。
もし、ほかのユーザーのパソコンでも同様の不具合が発生している場合は、検索した番号の更新プログラムを削除すると改善に期待できます。 仮に同じ症状がウェブ上で見つからない場合も、新しい更新プログラムを順番に削除していくとどこかのタイミングで不具合が改善するかもしれません。
更新プログラムをアンインストールする
以下では、更新プログラムをアンインストールする手順を紹介します。更新プログラムをアンインストールする方法はいくつかありますが、本記事ではWindows Updateから削除する方法と回復オプションを利用する方法の2つを紹介するので、参考にしてみてください。
設定からアンインストール
これまで適用したきた更新プログラムは、設定のWindows Updateから一覧表示が可能です。 表示させた更新プログラムのなかから任意の番号を選択し削除もできるので、不具合が発生したタイミングに心当たりがある場合は、以下の方法を試してみてください。
- 設定を開き「Windows Update」を選択します。
- 「更新の履歴」をクリックすると、これまで適用してきた更新プログラムが一覧できます。
- 下にスクロールし、「更新プログラムをアンインストールする」をクリックします。
- 任意の更新プログラムを選択し、「アンインストール」をクリックします。
以上の手順で、更新プログラムをアンインストールできます。アンインストール後は不具合が再現しないかどうかを迅速にチェックしましょう。
回復オプションからアンインストール
更新プログラムは、Windows Updateからだけではなく回復オプションからもアンインストールできます。 回復オプションからアンインストールする場合は、最新の更新プログラムのみ削除可能。不具合によりWindows 11が正しく起動しない場合や、設定画面を開けない場合などに有効です。
なお、回復オプションは設定から「システム」⇒「回復」⇒「PCの起動をカスタマイズする」⇒「今すぐ再起動」の順で開けます。 設定を開けない場合は、Shiftキーを押しながら再起動ボタンをクリックしても同様の画面に辿り着けます。
- トラブルシューティングを選択します。
- 「詳細オプション」を選択します。
- 「更新プログラムのアンインストール」を選択します。
- 「最新の品質更新プログラムをアンインストールする」または「最新の機能更新プログラムをアンインストールする」のどちらかを選択します。
- 「アンインストールする」を選択します。
自動アップデートの停止も忘れずに
更新プログラムをアンインストールして不具合が改善しても、再度同じ更新プログラムを適用すると再び不具合が発生してしまいます。 そこで、更新プログラムをアンインストールしたあとはWindows Updateを一時的に停止しておくことをおすすめします。
- 設定から「Windows Update」へと進みます。
- その他のオプションから「更新の一時停止」を探し、停止したい期間を選択します。
Microsoftは、毎月1回は月例の更新プログラムを提供しています。そのため、約1ヶ月にあたる4週間程度Windows Updateを停止してみると、不具合を改善したプログラムを受け取れる可能性があります。
自力での解決が難しい場合は専門店への相談も
以上、Windows 11で発生する主な不具合とその対処法を紹介しました。本記事で紹介した内容では不具合が改善しなかったり、データが消えてしまったりなどといったトラブルが発生した場合には専門業者への相談も検討してみてください。
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