処理速度の肝となる要素は主に3つ
パソコンの処理速度を決める要素として「CPU」が注目されがちですが、そのほかに「ストレージ」「メモリー」も同じように処理速度を左右する要素となります。
この3つの要素を以下のように例えるとします。
・ストレージ=食料庫(保存容量)
・メモリー=まな板(同時に処理できる数)
料理人の腕が良かったとしても、食料庫から食材(データ)を取り出しづらいかつまな板が小さければ、調理(データ処理)に時間がかかってしまうでしょう。
頭脳となるCPUだけでなく、ストレージやメモリーにも目を向けることで、快適にパソコンを使用することに繋がります。
各要素の性能を決める要因
前述した通りパソコンの処理速度を決めるのは「CPU」「ストレージ」「メモリー」ですが、各性能を理解する上でさらに細かく仕組みを見ていきましょう。
CPU
CPUの性能は以下の5つの要因で決まります。
・コア数
・マルチスレッド機能
・ブースト機能
・コンフィグラブルTDP
一つずつ、詳しく説明していきます。
動作クロック
CPUはクロック信号という信号に合わせて処理を実行します。
信号の周波数(動作クロック)が高くなると一定時間あたりの処理速度回数が増え、短い時間で多くの処理を行うことが可能です。
同世代のCPUであれば、動作クロックが高いほど高性能といえるでしょう。
コア数
「コア」とはCPU内にあるデータ処理ユニットです。
基本CPUはコアを複数持っており、その数が多いほど同時に処理できるデータが増えます。
前述の例えに倣うなら、コア数は「料理人の数」と考えればよいでしょう。
近年はノートPCでも4コア程度は備わっていることが多く、性能の高いノートPCでは8コアの場合もあります。
マルチスレッド機能
「スレッド」とは料理人が使う料理器具のようなもので、1人の料理人が複数の調理器具を使うことを「マルチスレッド」と呼びます。
例えば「2コア/4スレッド」のCPUでは2人の料理人が4つのフライパンで同時に調理します。
対して「4コア/8スレッド」のCPUは4人の料理人が8つのフライパンで同時に調理するようなものなので、こちらの方が処理能力が高いということになります。
ブースト機能
ブースト機能とは消費電力と発熱量に余裕がある場合に、決められた値まで自動的に動作クロックを引き上げる機能です。
ただしブースト機能対応でも、発熱対策に不備があるとブースト機能が動かず性能を十分に発揮できないので注意が必要です。
コンフィグラブルTDP
TDPとは「Thermal Design Power」の略称で、「熱設計電力」のことを表しています。
このTDPを上げ下げできる機能がコンフィグラブルTDPです。
対応CPUを採用した機種では、性能重視や省電力重視など製品コンセプトに応じてメーカーがTDPを設定します。
TDPが大きいほど消費電力は増えるが高性能になります。
同じCPUでも機種によって性能や消費電力が大きく違うのはこのためです。
メモリー
メモリーの性能は3つの要因で決まります。
・動作クロック
・容量
規格
現状パソコンに搭載されているメモリーの規格にはDDR4とDDR3があります。
基本的にはDDR4メモリーの方が高速なので、性能を重視するならこちらを選ぶと良いでしょう。
動作クロック
メモリーもCPU同様クロック信号で駆動し、動作クロックが高いほど読み書き速度が向上します。
動作クロックが高いほど高速で処理が可能です。
容量
規格と動作クロックは搭載CPUで決まるので、メモリーで最も注意して見る点は「容量」です。
メモリーが足りなくなると、メモリー内のデータをストレージに退避させて空き容量を作る「スワップ」という現象が発生し、処理性能が大きく低下します。
メモリーが多ければ「スワップ」が発生する可能性が低くなるので快適にパソコンを使用できます。
2022年3月現在のWindows10パソコンでは8ギガ以上がマストといえるでしょう。
ストレージ
主力としてパソコンで使われる歴代のストレージは「HDD」「2.5インチSSD」「M.2(エムドットツー)SSD」です。
これらのストレージの性能は以下3つの要因により左右されます。
・インターフェース
・容量
種類
現状、ノートパソコンのストレージにはフラッシュメモリーを使う「M.2 SSD」「2.5インチSSD」「eMMC」と、磁気ディスクを使うHDDがあります。
フラッシュメモリーのSSDは機械駆動部品が無いため音が静かで処理も高速ですが、容量当たりの単価が高くなっています。
対して機械駆動部品があるHDDはSSDよりも読み書き速度が劣り、動作音が大きく衝撃にも弱いですが、容量当たりの単価が安いのでご自身の予算と相談して決めるのが良いでしょう。
単純に処理速度のみを重視するようであればSSD搭載のパソコンを選ぶことをおすすめします。
なお、低価格パソコン向けのeMMCはフラッシュメモリー採用ですが、インターフェースが低速なので、読み書き速度はSSDより劣り、HDDと同程度になっています。
インターフェース
SSDとHDDのインターフェースには「PCle(NVMe)」と「SATA」があり、前者の方が圧倒的に処理速度が高速です。
HDDと2.5インチSSDはSATAのみですが、M.2 SSDにはPCleとSATAの両方の製品があります。
容量
フラッシュメモリーに並列アクセスするSSDは大容量なほど高速。
容量が多い方が記憶素子の劣化も防ぐことが可能です。
ストレージは経年劣化するが障害には強い
HDDやSSDなどのストレージは経年劣化をカバーする機能を備えています。
ストレージは長期間使い続けて劣化が進むと性能が落ちますが、些細な障害であれば故障には至りません。
一方、CPUやメモリーは少しでも障害が発生すると即動作不能になってしまうので注意が必要です。
処理速度は快適なパソコン使用に必須
色々なソフトやWebブラウザを快適に利用するには仕組みを理解し、そのパソコンがどの程度の処理能力を備えているかを知る必要があります。
今後パソコンの新規購入を検討する際などにぜひ知識としてお役立てください。
また、ファストPCリペアではHDDからSSDへの換装も承っております。
年中無休でお電話を受け付けており最短で即日の対応をいたしますので、SSD換装を考えている、最近パソコンの処理速度が遅くて困っているという方はフリーダイヤルよりお気軽にご相談ください。
パソコンの動作に関する修理事例
ファストPCリペアでは様々なパソコントラブルに関するご相談を受け付けており、その中にはパソコンの動作が遅いというご相談も数多くあります。
そこで、その中の一部ではありますが、パソコンの動作改善の修理事例をご紹介します。
修理事例1
パソコンの動作が遅いというご相談でお話を伺ったところ、新しく購入したパソコンでネット接続済みのものであるとのことでした。
また、併せてお子さまが使用されているlenovoのパソコンも一緒に診断してほしいとのご依頼です。
詳しく診断を行なったところ、McAfeeの期限切れとAvastの競合が発生しており、またDriver Reviverなどの迷惑ソフトが混入していることが判明。
そのため、システムのクリーンアップや迷惑ソフトの削除を行い、正常に動作することを確認し作業完了としました。
修理事例の詳細については以下の記事をご確認ください。
修理事例:愛知県名古屋市守山区 ノートパソコンの動きが遅い/ASUS Windows 10
修理事例2
こちらの事例では、診断の結果、HDDの簡易チェックではエラーが出なかったですが、HDDの読み込みが遅いこととメモリ不足が原因の可能性が高いと判明しました。
そこで、新しいSSDを販売・交換を行い、Windows Updateを実施。
また、メモリも販売・増設を行いました。
他にもOutlook、Wordがエラーで起動不可だったのでMicrosoft Officeの修復を実施し、正常に動作することやスピードが改善されていることを確認し作業完了としました。
修理事例の詳細については以下の記事をご確認ください。
修理事例:千葉県千葉市緑区 ノートパソコンの動作が遅い/DELL(デル) Windows 10
修理事例3
こちらの事例ではメモリの使用率が高く、ハードディスクへのアクセスが多いことによって、動作の遅延を起こしていました。
そこで、不要なアプリ動作の停止、一時ファイルの削除、メモリーを販売して増設を実施。
パソコンの動作が軽くなったことを確認して作業完了としました。
作業の詳細については以下の記事をご確認ください。
修理事例:愛知県長久手市 デスクトップパソコンの動作が遅い/DELL(デル) Windows 10
この他にもパソコンの動作が遅いというご相談で修理をさせて頂いた事例は数多くございます。
同じような症状・トラブルでお困りの際はいつでもお気軽にご相談ください。