パソコンの初期化(リカバリ)とは
パソコンを長い間使用していると、動作が重くなったりパソコン起動時に画面がフリーズしてしまったりといったトラブルに見舞われる可能性が高くなります。
ダウンロードしているソフトやOSの不具合などトラブルの原因は様々なので、症状によっては原因特定が難しい場合もあるでしょう。
そんな時に有効な手段として挙げられるのがパソコンの初期化(リカバリ)です。
初期化、つまりパソコンを工場出荷時の状態まで戻すことを指しており、今までダウンロードしたファイルやソフト、更新したシステムを削除することでパソコンを購入時のまっさらな状態に戻すことができます。
この初期化という手法は、パソコンを破棄・売却するときのデータ削除にも役立ちます。
パソコンの初期化が必要な場合
パソコンの初期化を検討すべきケースは主に3つあります。
- パソコンの不具合の原因が特定できない場合
- パソコン内のデータを意図的に削除する必要がある場合
- ウイルスに感染した場合
初期化は主にソフトウェアの不具合がトラブルの原因となっているときの最終手段として有効な手法です。
しかしハードウェアがトラブルの原因となっている場合はパソコンを初期化しても症状は解決しませんのでご注意ください。
最悪の場合、初期化に失敗しさらに状態が悪化してしまう場合があります。
ハードウェアの故障が疑われる場合は初期化を避け、専門の修理業者に相談をしましょう。
パソコンを初期化する際に注意すべきこと
初期化をするにあたり、いくつか注意点があります。
よくわからないまま事前準備なく初期化を実施してしまうと、あとで後悔をすることになってしまうかもしれないのできちんと確認しておきましょう。
初期化により削除されるデータを把握する
前述の通り、初期化をすることによってパソコンに蓄積されたデータやパソコン上の設定はすべて消えてしまいます。
- WordやExcel等の編集データ、動画、写真などのファイル
- インストールしたソフトやアプリ
- インターネット接続に関するデータや設定
- ブラウザのブックマーク、閲覧履歴
- ブラウザに保存したパスワード情報
- メールソフトのアカウント設定やこれまでにやり取りしたメール
- アドレス帳
- プリンターなど周辺機器の接続設定
しかしChromeを使用している場合はGoogleアカウント、Edgeを使用している場合はMicrosoftアカウントなどブラウザと対応しているアカウントを紐づけることでネット上に記録されているブックマークやパスワード情報を同期することができます。
普段からChromeやEdge等を使用しているなら、パソコン初期化後に再度インストールを行いアカウントの紐づけを行えばよいので、ブラウザに記録されている情報が消える心配はないでしょう。
必要なデータのバックアップ
初期化により消えてほしくないデータは、事前にバックアップを取っておきましょう。
バックアップを取る際はUSBや外付けHDDなどの外付け記録媒体やクラウドストレージの使用がおすすめです。
ブラウザの情報は前述した通り、対応アカウントに情報を同期させておけば問題ありません。
ただ、アカウントのログイン情報を忘れてしまうと初期化後に再ログインできなくなってしまうので注意しましょう。
Office製品についても同様に、Microsoftアカウントのプロダクションコードやライセンスキー、ログイン情報を覚えておく必要があります。
初期化の必要性があるかどうかをもう一度考える
パソコンの初期化には事前準備や初期化後のデータ復旧など、多くの作業が発生します。
初期化で解決できるのはソフトウェアの不具合がトラブルの原因となっている場合であり、ハードウェア故障による不具合は解消されないので、本当に初期化をすることで症状が改善するのかを今一度確認しておきましょう。
仮にメモリーの不足やパソコン内部の故障が原因で不具合が発生しているようであれば、初期化作業は全く効果がありません。
パソコンの使用期間が長いほど経年劣化によるパーツの故障も起こり得ます。
誤ったケースで初期化を行ってしまうとパソコンの起動不良など新たなトラブルが発生する場合がありますので、不安な場合は一度専門知識を持ったプロに診断してもらうことをおすすめします。
富士通のパソコンを初期化する手順
上記の注意点を確認したうえで初期化を行うべきと判断したら、以下手順でパソコンの初期化を進めましょう。
メーカーや機種によってパソコンの初期化手順は異なりますが、本記事では富士通のパソコンの初期化手順をご紹介します。
初期化の準備をする
まずはバックアップし損ねているデータがないかを確認しましょう。
初期化した後に気づいてもその頃にはすべてのデータが消えてしまっているので、隅々まで念入りに確認した方がよいでしょう。
バックアップが完了したら、以下手順で初期化の準備を進めます。
- パソコンをシャットダウンする
- マウス、キーボード以外のパソコン操作に不必要な周辺機器(USBなど)をすべて取り外す
- LANケーブルも併せて取り外し、電源ケーブルのみを接続
(ノートパソコンの場合も、初期化途中で充電が切れないようACアダプターを接続)
富士通は日本のメーカーなので、付属の取扱い説明書に初期化手順が記載している可能性があります。
取扱説明書が手元にあれば、まずは一度確認してみるとよいでしょう。
トラブル解決ナビを起動する
富士通の個人向けパソコンには「トラブル解決ナビ」と呼ばれる機能が標準搭載されており、この機能を使用して初期化ができるようになっています。
トラブル解決ナビの起動は機種により異なります。
サポートボタンが付いているパソコンの場合はとても簡単で、パソコンの電源が切れている状態でサポートボタンを押し、画面上に表示される項目から「トラブル解決ナビ」もしくは「Recovery and Utility」を選択するだけで起動可能です。
お手持ちの富士通パソコンにサポートボタンが付いていない場合は、電源を入れて富士通のロゴが表示されたタイミングで「F12」を押せば起動します。
LIFEBOOK MHシリーズ(2011年春〜2012年夏モデル)の場合のみ、「F12」ではなく「F11」を押してください。
また、サポートボタンが付いていない場合でも、以下機種をお使いの場合はさらに手順が異なります。
- ESPRIMO DHシリーズ(2012年夏モデル)
- DH53/L
- LIFEBOOK(2011年冬〜2012年夏モデル)※AH30/EとMHシリーズを除く
- LIFEBOOK NH77/THシリーズ
- AH33/H、AH33/L、AH35/L
こちらの機種でトラブル解決ナビを起動する場合は、「F12」を押しながら電源を入れてください。
音が鳴ったことを確認したら手を放し、メニュー画面からトラブル解決ナビを選択しましょう。
トラブル解決ナビでリカバリをする
トラブル解決ナビが起動したら、リカバリ(初期化)を進めます。
- 「リカバリ」を選択後、「Cドライブを32ビット(ご購入時)の状態に戻す」「Cドライブを64ビット(ご購入時)の状態に戻す」「全ドライブをご購入時の状態に戻す」のいずれかを選択
- 「実行」をクリック
- 画面に表示される注意事項をスクロールして最後まで確認し、問題なければ「同意する」にチェックを入れ「次へ」をクリック
- ハードディスクのデータ消去に関する警告が表示されるので「OK」をクリック
- 初期化が開始されるまで完了までしばらく待つ
- 「リカバリが正常に完了しました」と表示されたら初期化完了
初期化完了後はパソコン内のデータが削除され、購入時点の状態にリセットされています。
初期化後はまず不具合が解消されたかを確認するためにWindowsの最低限のセットアップを行い、動作確認を行いましょう。
もし不具合が解消されていなければソフトウェアではなくハードウェアの故障である可能性があります。
メーカーや修理専門店に症状診断や修理を依頼すると安心でしょう。
富士通のパソコンを再度使えるようにする手順
不具合が無事解消されパソコンが問題なく動作するようになったら、次にパソコンを初期化前と同じように使用できる状態に戻していきましょう。
初期化後のパソコンからはインストールされていたセキュリティソフトも削除されてしまっているので、一番初めにセキュリティソフトの再インストールから対応することをおすすめします。
パッケージ版のセキュリティソフトを購入している場合はインストール用ディスクを使用し、ネット上で配布されているセキュリティソフトをお使いの場合はインターネット接続設定を済ませた後にインストールしましょう。
そのほかメールアカウントの設定、使用していたソフトのインストール、周辺機器のドライバーのダウンロードなどを対応します。
取り外していた周辺機器やLANケーブルもこのタイミングで接続して問題ありません。
また、初期化後はWindowsが最新のバージョンでなくなっている可能性があります。
Windowsのバージョンが古いままだと不具合や脆弱性が修正されておらず、ウイルス感染など新たなトラブルが発生するかもしれません。
バージョンを確認し、Windowsの更新が必要な場合は早めに対応しましょう。
- 画面左下にあるスタートメニュー(Windowsのロゴマーク)をクリック
- 「設定」→「更新とセキュリティ」を開く
- 「最新の状態です」という場合は問題なし
- 「更新が必要です」と表示されていたらWindowsの更新を行う
富士通パソコンの初期化が不安なら専門業者に相談しよう
富士通のパソコンに不具合が発生した際には、トラブル解決ナビのような便利な機能の力を借りつつ比較的簡単に初期化を行うことができます。
しかし本記事でもお伝えした通り、ハードウェアの故障の場合は初期化では不具合が解消せず、さらなるトラブルを引き起こしかねません。
初期化自体は簡単に行えるとしても、ソフトウェアとハードウェアどちらが原因なのかを見極めるのが難しいという方もいるでしょう。
そんな時はファストPCリペアにお任せください。
ファストPCリペアは年中無休でお客様からのお電話を受け付けており、修理だけでなく設定のサポートまでパソコンに関するお困りごとに幅広く対応しております。
また、駆けつけ修理、店舗持ち込み修理、宅配修理にも対応しており、最短即日で修理を行います。
パソコン整備士の資格を持ったプロのスタッフも多数在籍しており、パソコン内のデータを消さないよう保護しつつ修理にあたりますので「初期化に失敗してデータを消したくない、さらなる不具合が起こるのが怖い」という方はお気軽にフリーダイヤルよりご相談ください。
富士通の初期化が必要になった修理事例
ファストPCリペアでは日々、様々なパソコントラブルに関するご相談を頂きます。
今回はその中でも、富士通のパソコンで初期化が必要になった修理事例の一部をご紹介します。
修理事例1
こちらの事例はパソコンが起動せずにお困りのお客様からご相談頂いた事例です。
お話によるとWindowsアップデートを行なってから起動しなくなったとのことで、詳しく診断を行った結果、内蔵ディスクが破損していることが判明しました。
そのため、Windowsアップデートが失敗し、起動できなくなったものだと推測されます。
OSの状態が悪く、このままでは起動復旧ができない状態でしたので、内部のデータを新しいハードディスクにコピーした後、
OSを初期化し、データを戻し、正常に使用できるようになったことを確認して作業完了としました。
修理事例の詳細についてはこちらの記事をご確認ください。
修理事例:福岡県糟屋郡篠栗町 ノートパソコンが起動しない/富士通 Windows 10
修理事例2
こちらの事例もパソコンが起動しないというトラブルでお困りのお客様からのご相談です。
お話をお伺いしたところ、お客様自身でリカバリをしたところ、正常に完了せず起動不良を起こしている状態でした。
そこで詳しく診断したところ、HDDに不良セクタが発生していることが原因だったため、システム領域の書き込みに失敗しています。
そこで、HDDの代わりにSSD250GBに換装し、お客様にてご持参頂いたリカバリディスクから、Windows7の32ビットにて初期化作業を行っています。
その後、Windows7の最新の状態までのOSアップデート、セキュリティ強化のためにAdobeFlashPlayer、AdobeReader、Javaを最新の状態にしています。
修理事例の詳細についてはこちらのページをご確認ください。
修理事例:京都府京都市 ノートパソコンが起動しない/富士通 Windows 7
修理事例3
こちらのページもパソコンが起動せずにお困りのお客様からのご相談です。
お話を伺ったところ、電源ランプはつくが画面が薄暗くなっているとのことでした。
そこで詳しく検査を行なったところ、メーカーロゴのあと何も表示されず進まない症状を確認しました。
ハードディスクやメモリには異常は見られず、修理はできない状態でした。
お客様とお話したところ、データは不要とのことでしたので、パソコンをお預かりし、初期化を実施しました。
修理事例の詳細についてはこちらの記事を参考にしてください。
修理事例:神奈川県茅ヶ崎市 ノートパソコンが起動しない/富士通 Windows 8.1/8
この他にも富士通のパソコンの初期化に関する事例は複数ございます。
もしも同じような症状やトラブルでお困りの際はいつでもお気軽にご相談ください。